外資で働いた経験いかし、辰野からグローバルな人材育つ学び場づくり

STELABO辰野校 教室長/ハート英会話教室辰野校 教室長

須佐 秀雄

福島県・会津生まれ。大学進学で上京、その後はIT黎明期からコンピュータに関わる仕事を続けてきた。2000年から外資系の製薬会社に10年間勤務した後、複数の会社を経て2014年に起業。東京の会社を継続する傍ら2020年に移住、2022年にSTELABO辰野校を開校。

取材・文:松田

なにやってるの?

英語とプログラミング思考を身に着け、辰野から世界へ

STEAM教育を実践する「STELABO辰野校」、オーストラリア・メルボルンのネイティブ講師とオンラインでつなぐ「ハート英会話教室」、外国にルーツを持つ子どもたちの放課後教室である「カラフル」、学習塾「螢照会」が複合した教室。 曜日、時間によって多様な子どもたちがあつまり、新しい時代の教育施設になりつつある。

STEAM教育は、科学・技術・工学・教養・数学を統合し、これからの時代で活躍できる人材を育成しようという試みであり、日本ではここ数年注目を浴びるようになったものだ。今回インタビューする須佐秀雄さんは、これからの社会で必要な力は『IT』と『英語』であるとの思いから、「STELABO辰野校」と「ハート英会話教室」を立て続けに開校。奇しくも同じころ、辰野に住む外国ルーツの子供たちの支援をしている協力隊の渡邊麻衣さんも、教室を開ける場所を探していた。須佐さんは二つ返事で場所の提供を快諾、現在はそこに学習塾も加わり、4つの機能が複合する教育施設となった。

STEAM教育で生徒たちが作成した機械

なぜ辰野?

第二の人生、何もせずにはいられない

長らく東京で働いていたが、奥さんの強い希望で移住を考え始め、偶然いい物件のあった辰野町に2020年に移住した。なんと、物件の内見をしたその日に即決で契約、1ヶ月後には完全に移住をしたそう。

趣味の農作業や釣りをしながら悠々自適な辰野暮らしを満喫する中で、なにか人のためになることがしたいと考えるようになった。ちょうど開催されていたセミナーに参加し、STEAM教育に出会う。経験上、ITリテラシーの大切さは身にしみて知っている。この町の子供のために、STEAM教育の教室を開くことを決断した。

3ヶ月後、無事STELABOは開校したが、須佐さんの行動は止まらなかった。

「英語が必要になってから学ぶんじゃ遅い。ある日突然上司が外国人になるかもしれない。これからはそういう時代になる」

ITに加えて英語も必須のスキルである。英語教育に関する東京のセミナーに通い、オンラインでネイティブと繋ぐ英会話教室をみつけた。「これなら自分にもすぐできる」とその場で開校することを決断、1ヶ月後「ハート英会話教室」を開校した。

どうやってはじめたの?

講師探し。田植えがつないだ縁

自分ですべて教えることはできないため、講師となる人を探した。田植えイベントで出会った元協力隊・北埜さんに相談したところ、ちょうどいい学習塾を始めていた若者を紹介され、無事仲間を確保した。

散歩&飛び込みスタイルで物件探し

駅に近いといいな、と周辺を散歩。よさそうな物件を見つけ、その場で隣のテナントでオーナー情報を入手。その足でオーナーに直談判しに向かった。駐車場がないことが難点だったが、それも近所に空いているところを見つけ、やはりオーナーを探し出して直談判、無事貸してもらった。内装工事もすぐに手配し、天井や窓枠の塗装など自分でできる部分はDIYで完成させた。

駅前の好物件。内装はリフォームされて勉強に取り組みやすい環境に

生徒集めも自分で

生徒集めも自分でこなす須佐さん。教頭先生に直接話したところ、許可がもらえたため、小学校の校門前で連日配布。そこから申し込みがあり、無事に教室はスタートした。

このスピード感にはフランチャイズを活用しているという要因も大きいだろう。未経験から教育事業を始める際に、1から教材やカリキュラムを整えるにはどうしても時間がかかってしまう。須佐さんのように、低コストでスタートできるフランチャイズを探すというのも一つの有効な手段かもしれない。

はじめ手図鑑一覧